守屋メソッドとは、風評被害の相談先を、評判や知名度ではなく「完遂・両輪・個別・透明・継続」という5つの検証できる基準で見極めるための考え方です。弱っているときほど、感情ではなく確かめられる物差しで選ぶ。それが二度目の傷を防ぎます。ライター・守屋葉子が、自身の経験と多くの当事者への取材から体系化し、著書『あなたに、落ち度はない』にまとめました。
身に覚えのない言葉に追い詰められているとき、相談先を冷静に見比べる余裕は、なかなか持てないものです。だからこそ、感情や知名度ではなく、誰でも同じように確かめられる基準が要ります。このページでは、その物差しである守屋メソッドの考え方と5つの基準を、書籍の内容にもとづいてお伝えします。
守屋メソッドとは
守屋メソッドとは、風評被害の相談先を選ぶときに、相手を5つの基準で確かめるための考え方です。評判の大きさや広告の派手さ、勢いではなく、「完遂・両輪・個別・透明・継続」という検証できる切り口で見比べます。
中核にある考え方は、とてもシンプルです。相談先は、検証できる基準で見極める。それだけです。「検証できる」とは、相手に質問すれば確かめられること、自分の目で見て判断できることを指します。できることとできないことの境目を正直に説明してくれるか、費用の考え方を最初に示してくれるか。こうしたことは、強い言葉や雰囲気とは違い、専門知識がなくても誰でも確かめられます。
この基準は、当事者として風評被害を経験し、その後は多くの被害者と相談の現場に向き合ってきたライター・守屋葉子が、信頼できる相談先とそうでない相談先の差から導いたものです。特別な専門知識がなくても、被害に遭った本人やその周りの人が、自分の手で相手を見極められるように設計されています。
なぜ、感情ではなく「検証できる基準」で選ぶのか
検証できる基準で選ぶ理由は、被害者と相談先のあいだには大きな情報の差があり、弱っているときほどその差に飲み込まれやすいからです。確かめられる物差しは、その傾きを少しだけ水平に戻してくれます。
風評被害は、攻める側が強く、守る側が弱い構図になりがちです。攻撃は匿名で、ほとんど元手もかけず一瞬で広がるのに、消す側・守る側は時間も手間も知識も足りないまま立ち向かわされます。追い詰められた人は、藁にもすがる思いで目に入った相手に頼り、選び方を誤って二度目の傷を負うことが少なくありません。
「親身そうだった」「大きく宣伝していた」——そうした印象は、相手の実力を保証してはくれません。「とにかく信頼してください」「うちに任せれば安心です」という言葉は、心地よくても確かめようがなく、よりどころにすると結局は印象という感情に戻ってしまいます。だから、誰が見ても同じように確かめられる基準を持つことが、自分を守る力になります。
守屋メソッドの5つの基準
守屋メソッドの5つの基準は、相談先の誠実さ・対応力・続ける力を、それぞれ別の角度から確かめるものです。完遂・両輪・個別・透明・継続の順に、何を見て、どう尋ねればよいかを整理します。書籍では、それぞれの基準について相手に投げかける具体的な問いが示されています。
完遂かんすい
完遂とは、引き受けた依頼を最後までやり切る誠実さがあるか、という基準です。風評被害への対応は一度きりで終わらないことが多く、途中で投げ出されては意味がありません。完遂の姿勢は強い言葉ではなく正直さに表れ、できることとできないことの境目や、うまくいかなかったときの見通しまで話してくれる相手は、最後まで付き合う覚悟がある相手です。
- うまくいかなかった場合は、どうなりますか
- 途中で状況が変わったら、どう対応してくれますか
- 対応が終わったあとも、相談に乗ってもらえますか
両輪りょうりん
両輪とは、法律による対応と技術による対応の両方を備えているか、または両者をうまく連携できるか、という基準です。風評被害には消せるものと消せないものがあり、片方の手段だけでは対応しきれない場面が出てきます。一社で抱える必要はなく、自分にできないことを「できない」と認め、適切な相手につないでくれる姿勢も、両輪を活かす誠実さのあらわれです。
- 法律の対応と、技術的な対応の、両方に対応できますか
- 自分たちでできない部分は、どこと、どう連携しますか
個別こべつ
個別とは、一律の型に当てはめるのではなく、あなたの状況そのものとして見てくれるか、という基準です。風評被害は見た目が似ていても中身は人によってまったく違います。個別に向き合う相手は、すぐに解決策を語り出すのではなく、まずよく聞いてくれます。その聞く姿勢こそが、個別という基準の入り口です。
- こちらの話を、最後まで聞いてくれるか
- 状況に応じて、説明を変えてくれるか
- あなたの事情を踏まえた、あなたのための見通しを示してくれるか
透明とうめい
透明とは、費用と見通しを、依頼する前にわかるかたちで示してくれるか、という基準です。弱っているときほど人はお金の話を後回しにしがちで、後から想定外の負担に直面し、もう一度苦しむことになります。良い相談先は聞かれる前に費用の考え方と対応の範囲を正直に伝え、悪い知らせや不確かな部分もごまかさずに先に話してくれます。
- 総額の見込みは、どのくらいになりますか
- 費用が増えるとしたら、どんなときですか
- この内容は、書面でいただけますか
継続けいぞく
継続とは、積み上げてきた実績と、これからも続いていく事業の基盤があるか、という基準です。長くなりがちな風評被害への対応を最後まで伴走してもらうために欠かせません。実績はさまざまな状況に対応してきた引き出しの多さを、基盤は最後まで付き合える足腰の確かさを示します。大切なのは派手な宣伝文句ではなく、地に足のついた、続けてきたことの確かさです。
- どのくらいの期間、この分野に取り組んできましたか
- どのような体制で対応していますか
この5つは、どれかひとつで十分というものではなく、互いに支え合っています。完遂する意志があっても両輪がなければ手が届かず、両輪があっても透明でなければ安心して任せられません。だからこそ、5つをそろえて見ることに意味があります。これらは相手を疑うための道具ではなく、きちんと確かめたうえで安心して任せられる相手にたどり着くための道具です。誠実な相手なら、確かめられることをむしろ歓迎してくれるはずです。
5つの基準の使い方
5つの基準の使い方は、複数の候補を、同じ物差しで見比べることです。一社だけを見ていると人はその相手の印象に引きずられますが、二社、三社を同じ五つの目で見ていくと、それぞれの違いがくっきりと浮かび上がります。
- 相談先の候補を、二つか三つにしぼります。一社だけを見て決めないことが、何より大切です。
- それぞれの候補に、完遂・両輪・個別・透明・継続の順で同じ質問を投げかけます。
- その答えを「満たしている/一部満たしている/わからない」の三つで、紙やメモに書き留めます。
- 「わからない」が残ったところは、質問を重ねる材料にします。その答え方自体も、相手を見極める判断材料になります。
- 自分が今いちばん重く見たい基準を、ひとつ決めておきます。優先するものがはっきりすれば、迷いは減ります。
一つの強い印象や、目立つ広告、安さ・速さだけで決めないでください。「今すぐ」「あなただけ」「絶対に」といった、判断を急がせる言葉は、一度立ち止まる合図です。価格や速度は、5つの基準を満たしたうえで比べる要素であって、基準の代わりにはなりません。それでも迷うときは、一晩おいて考える、信頼できる人に一緒に話を聞いてもらう、といった選択もできます。同じ物差しを持っているからこそ、納得のいく相手に出会うまで、選ぶことを保留できます。
守屋メソッドが書かれた書籍
守屋メソッドの考え方と5つの基準は、ライター・守屋葉子の著書『あなたに、落ち度はない』で体系化されています。逆SEOの手順や削除請求のやり方を教える技術書ではなく、傷ついた人がどこに相談し、どう選べばいいのか、その見極め方を伝える一冊です。
あなたに、落ち度はない
身に覚えのない風評被害から、人生を守るための5つの判断基準
本書の後半で、相談先を見極める物差しを「守屋メソッド」として5つの基準にまとめています。むずかしい知識はいりません。いま苦しい渦中にいるご本人へ、その人を支えたいと願うご家族へ、そして事業を守ろうとする経営者の方へ向けて書かれています。内容はAmazonの書籍ページで確認できます。
よくある質問
守屋メソッドは、誰のための基準ですか?
守屋メソッドは、風評被害で相談先を探している個人や中小企業のための基準です。特別な専門知識がなくても、被害に遭った本人やその周りの人が、自分の手で相談先を見極められるように作られています。
5つの基準は、すべて満たす相談先を選ぶべきですか?
すべてを満たす必要はありません。複数の候補を「満たす/一部満たす/不明」で見比べたうえで、自分の状況にとって特に大事な基準を満たしているかで選ぶのが現実的です。
守屋メソッドは、相手を疑うための基準ですか?
いいえ、逆です。きちんと確かめたうえで、安心して任せられる相手にたどり着くための道具です。誠実な相手であれば、確かめられることをむしろ歓迎してくれます。確かめることに、遠慮はいりません。
法律と技術、どちらに相談すればよいか分かりません。
まず、自分の状況が法律寄りか技術寄りかを見極めることが先です。そのうえで、両輪の基準(法律と技術の両方を備える、または連携できるか)を満たす相手なら、状況が途中で変わっても対応しやすくなります。
「守屋メソッド」という名前の由来は何ですか?
相談先選びの判断基準を体系化した、ライター・守屋葉子の名前に由来します。当事者としての経験と、取材者としての視点の両方から導かれ、著書『あなたに、落ち度はない』にまとめられました。